『Always Listening』がお届けするインタビューシリーズ。「超越」をテーマとして、このキーワードに紐づく人物にフォーカス。創造、表現、探求、感性、そして、なにかに没頭したからこそ感じることができる超越的体験について語っていただく。第3回目に登場するのは、フォーリー・アーティスト小山吾郎氏。

映画・ドラマの映像に合わせ、音を作り出し“映像に命を吹き込む”フォーリーアーティスト。そう、私たちが日々観賞している映像作品は、裏方のフォーリーアーティストによる緻密な工夫のもと制作された“音”によって成立しているのだ。今回は『クリード 炎の宿敵』(2019)、『メリーポピンズ・リターンズ』(2018)、『ブレードランナー2049』(2017)をはじめ大作のフォーリーを多数手がけてきた小山氏に、世界を舞台に活躍するまでのいきさつや、現場のリアルな“音”では出せない臨場感や抒情=ムードはいかにして生み出されているのか?について「超越」をテーマに話を聞いた。

Interview 
フォーリー・アーティスト小山吾郎氏

映画館での原体験、父への想い

――まずはじめに、フォーリーアーティストについて聞かせてください。

フォーリーとは、映画やテレビドラマの音響効果制作の一部です。歩く、座る、食べる、壊すなどのあらゆる生活音や動作音を映像に合わせて人間が演じて、録音するプロセスです。実際に体や小道具を使って音を作り出す人をフォーリーアーティストと言い、日本ではフォーリーのことを生音(なまおと)とも呼びます。私はカナダのトロントを拠点に生音だけを専門にやっています。

――高校卒業後、映画制作の勉強をするためカナダへ渡られたとのこと。当初は映像の世界を目指されていたのでしょうか?

子どもの頃からアメリカ映画が大好きで、いつかハリウッドに行くぞ!って漠然と思ってました。カナダへ行ったのはホームステイの受け入れ先がそうだっただけで、特にカナダへ行きたかったわけではないんです。英語はどこでも一緒、と思ってたので。英語学校を終えて、サンダーベイという田舎町のカレッジで映画制作を専攻しました。その頃、トロントでアメリカ映画がたくさん制作されていると知って、スーツケースを持ってトロントへ行きました。

――どんなきっかけで映像から音へとシフトされたのでしょうか。

映画学校に通い始めた頃、父が病気で視力を失ったんです。散々迷惑をかけた親に、「いつか映画を作って見せてやらないと」という思いがありましたから、かなりショックでした。やめて帰りたいと何度も思いましたよ。そんな矢先に仕事を探しに出向いたトロントでサウンドスタジオを見学させてもらって、そこでフォーリーに出会ったんです。これがまったくヘンテコで素敵な仕事で。一目惚れでしたね。盲目の父のこともあり、すごく自然に「これやらなきゃ!」って思ったんです。その場で弟子入りを懇願しました。

――映画制作に携わりたいと思ったのはいつからですか?また、影響を受けた作品や、憧れた人物などあればお聞かせください。

小学生の時にテレビで観た『ロッキー』シリーズに完全にノックアウトされちゃいまして。『ロッキー4/炎の友情』(1985)を映画館に観に行った時、満員で立ち見だったんですけど、上映の最中に画面から目を離して、お客さんの顔を見ていた瞬間があったんです。「外国から来た映画に、なんでこんなに人が夢中になるんだろう?」ってすごく感じました。観る事だけじゃなくて、映画を作る事、作る人に興味が湧いた瞬間でした。一昨年、ロッキーシリーズ最終章である『クリード 炎の宿敵』の依頼があった時には、飛び上がりましたよ。録音している間ずっと、あの『ロッキー4/炎の友情』の映画館へタイムトリップしたような、不思議な気持ちでした。

――“この映画のこのフォーリーは素晴らしかった”と小山さんが感じた作品を教えて頂けますでしょうか。

沢山ありすぎて絞れませんが、『カンバセーション・・・盗聴・・・』(1974)とかフランスの『デリカテッセン』(1991)なんかは作品に音があふれていてゾクゾクしますし、音としては『未来世紀ブラジル』(1985)の机を引っぱり合う音、『七人の侍』(1954)の馬の蹄と泥しぶき、『メン・イン・ブラック』(1997)のJが試験会場でテーブルを引きずる音、『バートン・フィンク』(1991)のモーテルの壁紙が剥がれる音、最高ですよね。作った人たちの遊び心と本気さが伝わってきて、たまらないですよ。『メン・イン・ブラック』と『バートン・フィンク』の音を作ったマルコ・コスタンザ氏には『メリーポピンズ・リターンズ』の時に会う機会があって、本人に直接言いましたよ。「You are my hero for making that sound !(あの音を作ったあなたはヒーローだよ!)」って。

――小山さんがフォーリーアーティストとして関わった作品で特に印象に残っているのは?

『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)、『オール・イズ・ロスト/最後の手紙』(2014)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)は難しかったものとして印象に残っていますが、一番はまだ駆け出しの頃にやった『チャイルド・プレイ チャッキーの花嫁』(1998)ですね。映画としてはお勧めしにくいんですが、当時強烈に印象に残ったという点で挙げるとこの作品です。絶対にハリウッドしか作らないタイプの映画でしょう。「ハリウッド映画キター!」という、悪ノリ一直線!な作品(笑)。でも、チャッキーの足音をやれた時はすごく嬉しかったのを覚えています。足音は、ゴム人形っぽさを出したい場面では小さな子供靴を手にはめて、その中に宿る殺人鬼を表に出したい場面では大人の靴で体重を乗せて、といった風に演じ分けようと頑張って作りました。映画が破茶滅茶な分、遊び心に溢れていて、音を作るのも自由奔放な感じでしたね。

それと、私の盲目の父が2018年に他界したんです。私が作った『クリード 炎の宿敵』のロッキーの足音は聞かずじまいだったんですが、亡くなる少し前に『グレイテスト・ショーマン』(2018)をわざわざ映画館まで聞きに行ってくれて、「楽しい音がたくさん聞こえた」って言ってもらったのは、本当に嬉しかった。それも私にとって特別な思い出の作品になりました。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

海を“超えて”見えた世界、『ブレードランナー2049』での挑戦

――フォーリーアーティストとして世界で活動する上で、これまでに経験した一番の困難・辛かったこと、限界を感じた局面はありますか? また、それをどのようにして乗り越えられたのでしょうか。

今までの人生で超えたものがあるとすれば、海です。太平洋を越えたことが一番大きかった。でっかい海を超えるとその先にはでっかい世界がありました。そして自分がとてつもなく小さいんだって分かったから、思い切り頑張れた。自分が生まれた国のことを(それは物理的な地形も含めて)外から見たことで、初めて見えてきたことがたくさんあったんです。言葉の壁、文化的な壁、思考の違い、外国人というハンデがキツく感じた事も過去にはありましたが、同時にそこが自分の違いを生かせるところでもあります。好きなことやってますから、大変な仕事があっても、苦痛ではないです。まだまだこれから登り続けていかなきゃと思っています。超越はこれからですね。

――ご自身の仕事(制作)にまつわる話の中で、小山さんが感じた超越的体験はありますか?

超越を感じたプロジェクトというと、『ブレードランナー2049』が挙げられます。カルトクラシック『ブレードランナー』(1982)の世代を超えての続編ですからプレッシャーはありましたが、オリジナルの真似っこにならず懐かしくも新しい感じを音で表現しうる限界までやろうという使命感がありました。でも「好きにやってもらっていい」という環境でやらせてもらえたので、音を探してスタジオを飛び出し、街の教会や、廃車置場、ホッケー・アリーナ等、色々な場所に行って録音しました。

作品の中で特に気に入ってるのが、冒頭の農家のシーンです。主人公が容疑者を探して家の中に入っていく時の軋むドア、床。ガスコンロの鍋が煮えたつ音だけが聞こえていて、ガタイのいい農夫が歩く度に棚の食器がカチャカチャと音を立てる。あのシーンの音はほとんど全てフォーリーで、私たちが録音したそのままの状態で完成作品中にポンと置かれています。

――なるほど。使命感がその超越的体験をもたらせてくれた部分でもありますか?

そうですね。特に、主人公のバーチャル彼女ジョイに音を付ける事には深い意味合いを感じていて、彼女のシーンがとても楽しかったのを覚えています。実体のない存在である彼女に足音をつけてあげたり、体に雨が当たる音をつけてあげる度に彼女が“生まれる”感じがしてゾクゾクしました。この作品のテーマを象徴するキャラクターのようで、やりがいがありました。

それから、『ブレードランナー』の主人公デッカードが登場する廃墟ホテルのシーン。伝説のキャラクターですからね。彼の一つ一つの動作に痺れていました。バーの場面では、にくいまでの演出、演技、アートデザイン、セットで使われている小道具の緻密さ、そして音楽と、多様なエレメントが繋がりあって場面を作り上げていく感じがビシビシ感じられて。この作品にはそんな場面がたくさんありました。

ラストシーンのかすかな雪の軋みが、この作品に入れた最後の音でした。雪の温もりを感じて欲しいという気持ちを込めて作りました。片栗粉なんですけどね(笑)。

――作品が出来上がってからの周りの反響はいかがでしたか?

公開されて間も無く、フォーリー関係者からたくさんメッセージが来ました。「おめでとう!」とも「ありがとう!」とも言われました。最先端CGを駆使した作品で、音を生でガッツリやったことを喜んでくれたんです。先日ワークショップをやったカレッジでは、『ブレードランナー2049』を観て音の世界を目指したくなったという学生に会いました。これはフォーリーアーティスト冥利に尽きますね。あの作品のフォーリーは色々なところで超越していると思います。

テレビシリーズでは、スペクタクル時代劇『ヴァイキング〜海の覇者たち〜』を6シーズン全てやりまして、これはやりがいがありました。水、土、木、鉄、甲冑、合戦、馬、などの多様なエレメントが混ざり合って、静と動があり、色々な音の表情を存分に創造することができたプロジェクトでした。テレビドラマのフォーリーとしてはそれまでの枠を超越していたと思っています。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

――映画やドラマなど様々な作品を通して小山さんご自身もよりフォーリーの魅力を感じていそうですね。

はい。そしてなんといっても日本の作品に参加させて頂いた事は、私にとって“超越”でした。『寄生獣』(2014)、『寄生獣 完結編』(2015)では自由にクリエイティブにやらせてもらえて、それが作品に良く反映されていると思います。七面鳥とグレープフルーツを存分に使わせてもらいました。日本版『許されざるもの』(2013)で、大好きな馬の音を沢山やらせてもらえたのも楽しかったです。黒澤清監督の『旅の終わり、世界のはじまり』(2019)は、歩くこと自体がストーリーになっている場面が多く、足音を演じていてワクワクしました。これらの作品では北田雅也さん、柴崎憲治さんのような日本の名匠音響効果マンと組ませて頂いたことは光栄でしたし、それ自体が超越的体験でしたね。

日常に散りばめられている“音”に埋もれ、丁寧に紡ぎ出す“音”

――アーティストとしての技術・感性はどのように培われたのでしょうか。日々心がけていることや、意識して触れるようにしているもの、インスピレーションを受けるものなどあればお教えいただきたいです。

日常の音に埋もれているのが好きなんです。「どうやって真似しよう」と考えて聴くのではなく、ボーッと埋もれる。森や雨の音はもちろん好きですが、街の音、例えば東京の音。他にも、スーパーの音や昼休みの音、雪が降ると変わる音。自然と不自然が織り成す音のレイヤーはサラウンドどころじゃない(感覚)ですから。まだフォーリーを習い始めの頃、地下鉄のホームやショッピングモールに人の足音を聞きに行ってたんです。小さな子どもがスキップしたり、クルクル回ったり、足を交差させたりしているのを聞いて、それが見事なダンスでも見てるみたいで。衝撃でした。時々近所の牧場へ馬が草を噛んでる音を聞きに行ったりもします。こういう自然から聴こえる音には「かなわないなぁ」って思っちゃいます。インスピレーションは日常に無限にありますね。

――実際に“音”を作る時には、目指す“音”をイメージされるのでしょうか。もしくは手を動かしながら、その“音”にたどり着くのでしょうか。

フォーリーは常に映像を引き立てる形で作られるものですから、場面に必要な音をイメージするところからはじまって、イメージが沸いたら今度はそれを壊すんです。(イメージにある)反対の方から叩いてみて、“ハッピーアクシデント”をバンバン誘発させるような、作業中の意識としてはそんな感じです。

――演出して作りだす“音”は実際に、再現したい対象物の“音”と同じになることを目指していますか?または映画上の演出として、日常に存在しない演出となる“特別な音”を作りだしているのでしょうか。

派手なアクションや、怪獣やゾンビ等の演出のような、特別な音を作る作業はもちろん楽しいのですが、私はフォーリーの、日常の生活音を丁寧に再現する工程がとにかく好きなんです。これがフォーリーの核心と思ってるほどです。

風に舞う枯れ葉、道に落ちている新聞紙、朝食を作る音、食べる音、改札を急ぐ足音、教室の机や椅子の音、オフィスのキーボード、布団をかぶる音、心地の良い音、悪い音。好きな人が家に帰ってきた足音を聞くだけで心が弾んだりしますよね。逆に静寂に恐怖を煽られたり。言葉とも音楽とも違う“日常の音”を足すことで、聞く人が共感しやすい質感を添えてあげる。それがあることで、演出の部分もより効果的になると思っています。

――実際にフォーリーとして、音を作る制作プロセスで使う物や作り方を具体的に教えていただくことは可能ですか?

作業は通常、フォーリースタジオという専用のレコーディングスタジオで行います。中は色々な種類の床面やドア、窓、無数の靴と、ありとあらゆる小道具であふれています。リサイクルショップをレコーディングスタジオに詰め込んだような場所と言ったら想像できるでしょうか。マイクの前にフォーリーアーティストが立ち、画面を見ながら必要な音を一つずつ作っていきます。足音は実際に靴を履いて演じます。女性の足音も28cmのハイヒールを履いて私が演じます。『メリーポピンズ・リターンズ』のエミリー・ブラント(メリー・ポピンズ)も、『ブレードランナー2049』のラヴやジョイも私です。知りたくなかった方はすみません(笑)。

動物の足音などはまた違ってきます。例えば、犬の足音は軍手の指先にペーパークリップをつけたものでやります。馬の足音は本物の蹄でやりますが、お碗でやる場合もあります。恐竜や怪獣の足音なんかも出てくるわけですが、そういうのはとにかくアイデアを出して試してみる。なんでもアリですね。

アクション映画では銃のハンドリングも多いですし、車のパーツをガッシャンガッシャン音を立てたり、椅子やテーブルをひっくり返したりします。あとは、ホラー映画のフォーリーは楽しいですよ。血が飛び、肉が裂ける音に野菜やグレープフルーツ、丸ごとの鶏肉もよく使います。コンニャクも便利なんですが、カナダ人のスタッフはあの臭いに耐えられないので、ヨーグルトやレモン味のゼリーで代用してます(笑)。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

――すごいですね(笑)。レコーディングスタジオで常に使っている機材はどういったものでしょうか。

ヘッドホンは時と場合によって複数のものを使い分けています。衣擦れなど細かい音を聞く時は密閉生の高いヘッドホン、飛んだり跳ねたりする時は軽くて邪魔にならないものが良いので、イヤーバッズをしたりもします。細かい音が聞こえて、音漏れが少ないヘッドホンが必要になります。とはいうものの、気分で付け替える時もあります。色々なモデルを試してみるのは楽しいです。オーディオテクニカさんのATH-M50Xはよく使うヘッドホンの一つですよ。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

――小山さんが理想としている“音”を作ることができたときはどんな気持ちになりますか?

「これが俺の理想!」みたいな事よりも、監督のイメージとこちらの意図がバッチリ噛み合った時が一番嬉しいです。常にクライアントが求めている音、映像が必要としている音を探して作ってあげる事が最優先なので。しっくり来る音は作った瞬間にしっくり来るんです。その喜びは何度やっても変わりません。

世界に満ち溢れる“音”を彫刻、その楽しさを伝えていく

――外でのワークショップも実施されているとのことですが、どういった内容のワークショップをどんな人へ向けて行われているのでしょうか。

普段は暗い密室で作業をしていますが、フォーリーワークショップやデモンストレーションという形で、皆さんと音を作って遊ぶのはすごく好きです。幼稚園生やファミリー向けの時もあれば、映画学校の授業、映画祭でのイベントとしてやることもあります。フォーリーのワークショップにはいつも笑顔が溢れています。そこで生まれる音にも、作業その物にも、そういう親近感があるんですね。大人もみんな子どもになっちゃうんですよ。それが最高に嬉しいです。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”
ドイツ、フランクフルトの映画祭でのワークショップの様子。「言葉の通じない参加者たちと、音を通して確実に繋がれた」と小山氏。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

――フォーリーの魅力とは、どんなところにあるのでしょうか。

本当に不思議なのですが、音は人の感情や記憶に直接作用する空気の波ですよね。音楽も、喋りも、音を取り扱う仕事はみんな、その空気の波を彫刻する仕事だと思うんです。フォーリーも然りだと思います。普段は気にしない音にとことん注意を払って、聞く人に伝わるように一つずつ作る。普段の生活の中では自然に生まれる音が、いざ作るとなるとなんでこんなに難しいんだろうって毎日感じます。上手く作れば作るほど、聴く人が気にも留めないという音作りが、私にとってフォーリーをやる上で一番のチャレンジであり、魅力です。

――日本から出て、異文化が交わる世界で仕事をしていく上で、小山さんが思う重要なポイントや、押さえておくべきポイントを教えていただけますか?

18歳の時に日本を離れてから、自分の居場所に関してずっと葛藤がありましたが、それはとても大きな財産になりました。今はカナダも日本もどちらも異文化みたいに感じていて、そういう感覚を持てることはラッキーだと思っています。どちらを向いても発見があるし、新しいものを取り込むきっかけを沢山くれるからです。

外国に限らず、新しい環境に一歩入っていくと、それまで思いもしなかった事に対応するためのフットワークが訓練されます。言語の勉強も仕事も生き方も、フットワークを鍛えて、興味に合わせて対応していけば良いと思います。特に若い時期というのは夢を作るための時期です。夢を探すというより、とにかく沢山の夢を作る。それを好きな色や形にどんどん変えて、対応していく。現代は夢が持ちにくいとか、そういう雰囲気も確かにありますけど、色んなことにアクセスがしやすい時代でもあります。やりたい事に必要な情報を探して、具体的に動きやすいし、実際に動いてみることだと思います。それと人と出会っていくこと。これはやはり大事です。繋がるきっかけはSNSだったとしても、やはり生身の人間との出会いは大切にしたいですね。

――確かに。ただ悩むだけでなく、自分から動いて出会ってみることが何よりも大切ですね。

フォーリーの仕事とは異なる事ですが、“行動を起こしてみる”という体験談として、私にとってゴミ捨て場は、とんでもなく面白いものが転がっている場所なんです。些細なことに注意を払ってみると、そこには意外な発見がある。そしてたとえ(自分が)前に進んでいないような気がしても足を止めないことが大事ですね。そして逆に夢中になりすぎてゴミ捨て場で時間を無駄にしてはダメ。ということもゴミ捨て場で学びました(笑)。

――今後チャレンジしたい分野や、作品について。小山さんの夢を教えてください。

とにかくフォーリーアーティストとして色々な映画を歩きたい。色々なプロジェクトを通して、音の楽しさを伝えていきたい。これからも文字通り一歩ずつ、気持ちを込めて足音を落としていきたいです。みなさんに気づかれないように(笑)。

フォーリーアーティスト小山吾郎!海を超えて出会った世界、聴こえた“音”

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