世界のあらゆる現場で活躍しているオーディオテクニカ(以下、AT)製品。スポーツ競技の放映においても数々の実績を持ち、世界中へ現場の“音”を確かな精度で見る者へ届けている。今回紹介するのは、モータースポーツの世界選手権MotoGP™。エンジニアたちの知られざる苦悩とその功績に迫る。

大会を支える2社のこだわりと情熱

MotoGP™世界選手権(以下、MotoGP)に関連する全てのコマーシャルとテレビ放映権を所持するDorna Sports (以下、Dorna)と、MotoGPのオフィシャルマイクロホンサービスソリューションプロバイダーであるAT。両社がもつ理念には共通点がある。それは情熱が原動力であること、ディテールまでこだわり抜く姿勢、そして音質に対しただならぬ執念を持っていることだ。これらの共通する資質を元に、両社はパーフェクトなパートナーシップを築いている。

MotoGP側にとっても、ディテールはまさに最重要事項。そして、MotoGPは業界におけるパイオニアであり、ディティールへの飽くなき追及を体現し続けている。世界最古の歴史を誇るモータースポーツ世界選手権でありながら、その栄光に決して満足せず、努力を怠らない。

最高の映像と音を届ける

現在MotoGPは、テレビで放映される様々なスポーツ競技において最多のカメラ台数でレースの撮影を行っている。臨場感あふれる実況中継にするには、レースを間近で観戦しているかのような映像と音を見る者へ届ける必要があるのだが、稼働するカメラの台数が多くなると、それを実現することが難しくなるのが常。実現するためには、カメラから被写体のアクションまでの距離が3mであれ300mであれ、映像と音のマッチングは必須となる。もしオートバイがクラッシュしたなら、アスファルト上を引き摺られるバイクから生じるあらゆる摩擦音がひとつ残らず聴こえるべきだ。MotoGPはこれを成し遂げる技術を持つパートナーを探していた。そう、音のパートナーを。

エンジニアが直面した課題とは?

世界中の様々なスポーツ選手権で音の収録を担い、音響のパイオニアとして多様な経験と実績を持つATにとっても、これは新たなるチャレンジであった。

MotoGPは年間20ものレースをそれぞれ別のコースで開催。レースでは、11のチームが6つの異なるメーカーによって生産される合計7種類のバイクに乗っており、各オートバイがまるで別の楽器であるかのようにユニークな音質を持つ。全車種が広範囲の音域で独自の音を放っているなか、各々のバイクが持つ音の特徴をキャッチする必要があるのだ。

そもそも、これほど「うるさい」音源から、このように多様な音のディテールまでを拾えるものなのか?これがATのエンジニアたちが最初に直面した難関だった。

移動式実験室で行われた挑戦

この要求を満たすため、ATのエンジニアたちは移動式の実験室を備え、レース開催の度に前例のない方法やアイデアを実地で試験した。その結果、非常に精密な測定値の算出が可能となり、DornaとAT双方における学びのプロセスを蓄積できるようになったのだ。

これが一体どんな結果に結びついたか?その答えは次のレースの録音音声で是非体験して頂きたい。

MotoGPの日本人ライダー長島哲太選手とATがパートナーシップ契約を締結

MotoGPとのコラボレーションの延長で、ATはMoto2クラス・レッドブルKTMファクトリーチーム所属の日本人ライダー長島哲太選手とパートナーシップ契約を締結。

長島選手はATのロゴマークがデザインされたヘルメットを着用、さらにレース前の大切な時間をサポートするアイテムとしてATのヘッドホンがすべてのレースで使用されている。

そして早速、3月8日(日)にロサイル・インターナショナル・サーキットで行われた2020年MotoGP開幕戦カタールGPのMoto2クラス決勝にて長島選手は初優勝!日本人ライダーとしてMoto2クラス優勝は、2017年MotoGP第12戦イギリスGPの中上貴晶選手以来の快挙となり、今後の活躍がますます期待される選手だ。

パートナーシップ契約を受けて長島選手からは以下のようなコメントをもらった。

「昨年よりオーディオテクニカがMotoGP世界選手権のオフィシャルマイクロホンサービスソリューションプロバイダーになったご縁で、こうして出会うことが出来ました。オーディオテクニカの製品が音質面を向上してくれることで、チームとライダーのモチベーションとパフォーマンスの向上へとつながります。2020年は私にとって非常に重要なシーズンになるだろうし、私自身ライダーとして成長し続けることができるように、オーディオテクニカの皆さんとご一緒できることを嬉しく思います」

長島哲太選手Profile

1992年、神奈川県横須賀市生まれ。
3歳からポケバイに乗り始め、小学6年生までポケバイで走り、その後、ミニバイクレースに転向。
2008年にはFRS(7c)に所属し、全日本GP-MONOクラスに参戦を開始。2011年高校を卒業後、再度GP-MONOクラスに参戦し、チャンピオンを獲得する。
2013年には、ロードレース世界選手権Moto2クラス決勝で20位に。その後もMoto2クラスへ参戦し続けている。
2020年はRed Bull KTM Ajoに所属し、初戦カタールGPでは予選14番手で迎えた決勝、ファステストラップを連発する圧巻の走りでMoto2クラス初優勝を飾った。