世界の音楽ニュースから気になる情報をピックアップしていくシリーズ特集。「世界で一番音楽を聴いている国」のニュースより、その国で実際にどんな音楽が聴かれているのかに着目し、音楽時事と共にその国の人気プレイリストをご紹介します。シリーズ第3回目の今回は、中国!

国際レコード産業連盟(IFPI)のレポート『Music Listening 2019』(2019年10月発表)によると、中国は1週間に音楽を聴いている時間の平均がメキシコ、インドに次ぎ第3位であることがわかりました。また、音楽市場の売上が近年世界の中で上位に上がってきており、中国全体としての音楽のマーケットの規模が大きくなっていることがわかりました。

今まで本シリーズで取り上げてきた上位2国(メキシコとインド)はSpotifyの利用者が多く、そこから各国の背景を掘り下げ人気ランキングとしてご紹介してきました。一方中国では視聴環境が異なり、リスナーのほとんどが自国で独自に進化を遂げたストリーミングサービスを利用。Tencent Music Entertainment(以下、TME) が提供するKuGou、KuWo、QQ Musicが主流となっています。そんな中国独自のストリーミングサービスではどんな音楽が人気なのでしょうか?TMEのサービスを利用する約8億人のデータを収集したランキング「Yo! Bang」(2020年1月第2週目時点)より、上位の曲をご紹介します。

|第1位 G.E.M. 鄧紫棋/句號 Full Stop

中華圏で今最も旬な女性シンガーG.E.M.こと鄧紫棋の“句號 Full Stop”が第1位を獲得。アーティスト名「G.E.M.」は「Get Everybody Moving」の頭文字から取ったもので、音楽を通して「みんなで踊りだそう」と発信しています。現在彼女のinstagramのフォロワー数は615万人!シンガーとしてだけでなく、その容姿端麗なビジュアルからファッションアイコンとしても人気を集めています。そんな彼女の7枚目となるアルバムからファーストシングルとしてリリースされた本楽曲は、歩んできた12年のキャリアを振り返るR&Bナンバーとなっています。

|第2位 阿悠悠/你若三冬

第2位には、女性アーティスト阿悠悠の“你若三冬”がランクイン。友人の結婚式で披露した歌を中国のストリーミングサービスNetease Cloud Musicにアップロードしたところ、数日で数百万回再生されるほど話題になりました。現在では、リリースする楽曲が中国のストリーミングサービスでのランキングで次々とトップに。

|第3位 火红的萨日朗/要不要买菜

第3位は“火红的萨日朗”がランクイン。この楽曲は、シンガーソングライター要不要买菜が2019年12月にリリースしたばかりですが、テスラ社CEOのイーロン・マスクがツイートした動画により世界的に話題となりました。動画には中国で行われたローンチイベントで、イーロン・マスクが本楽曲に合わせてダンスする様子が収められています。

次に、中国の今注目すべき音楽情報をピックアップ!

中国で今最も世界的な活躍をしているアーティストといえば、88risingに所属するヒップホップグループHigher Brothers。2017年上旬に発表した楽曲“Made In China”は『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)でtofubeatsの2017年上半期ベスト5で紹介され、話題になりました。更に昨年8月にリリースした楽曲“Friends & Foes”では、あのSnoop Doggをフィーチャーしています。

Higher Brothers x Famous Dex – Made In China (Prod. Richie Souf)

Higher Brothers ft. Snoop Dogg – Friends & Foes (prod. josh pan)

また、2017年6月にはヒップホップバトルのオンライン番組『The Rap of China』がスタート。この番組がきっかけとなり中国のヒップホップシーンが盛り上がり始めました。番組にはGAIやPG Oneをはじめとするスターが登場。

【1080p】中國有嘻哈之:PG One《中二病》現場

最後に、中国のライブとフェス事情について。実は中国ではライブ/コンサートからの収益が音楽市場の大半を占めており、2018年時点で市場全体の67%がライブやコンサートなどの音楽イベントによるものとされています。多くは中国国内のアーティストによる公演ですが、近年では海外からのアーティストの公演が盛り上がりを見せ、日本からはあいみょんや米津玄師、水曜日のカンパネラなど、数々の日本人アーティストがアジアを中心に中国でライブを行っています。2019年に開催された中国の代表的なフェス<Strawberry Music Festival>にはRADWIMPS、never young beach、Yogee New Wavesが出演しました。

出典:IFPI(国際レコード産業連盟)